重力波観測のための超高品質量子限界光学ミラーの開発:植田 憲一

番号 タイトル サブタイトル 項目 講師
1 重力波観測のための超高品質量子限界光学ミラーの開発:植田 憲一 1【セミナーの内容と自己紹介】 筆者は 2012 年 3 月まで 32 年間を電通大レーザー研で過ごしました。最初の 9 年間をレーザー核融合用の電子ビーム励起大出力 KrF レーザーの開発に従事した後、1990 年から超高安定化レーザー、超高品質ミラーの開発など重力波検出のための重点領域研究、学術創成研究(新プロ)の計画研究代表者として研究開発を行ないました。今回は、その重力波天文学に関係する超高品質、量子限界光学ミラーの開発についての講義です。 光響オリジナル
2 重力波観測のための超高品質量子限界光学ミラーの開発:植田 憲一 2【重力波研究の歴史】 重力波の存在を予言したのは、かのアインシュタインで、1916 年に発表した一般相対論の論文に始まります。それまでも光は直進することは知られていましたが、その際の前提はニュートンの力学が前提とした無限に広く均一な空間でした。一方、アインシュタインの考えた時空では、巨大な質量の近くでは空間が歪み、光が直進するという意味はその歪んだ空間に沿って曲がったとしても、光が進む方向が本当の直進だというように、関係が逆転しました。そして、巨大な質量が変化すると、重力波が発生し、発生源から波動として広がって伝播するということでした。論文投稿は 1915 年 11 月なので、投稿と同時に友人には手紙で内容を知らせていますので、情報公開されたのは 1915 年ということもできます。物理の世界では当たり前のプレプリント配布というのは当時も当たり前だったということが分かります。出版が決定してから別刷り配布をする他分野とは異なる文化の存在が分かります。 光響オリジナル
3 重力波観測のための超高品質量子限界光学ミラーの開発:植田 憲一 3【天文学における一般相対論 / 重力波で観測するのは、動的な宇宙像】 時間、空間が一様だというニュートン力学からの飛躍となったアインシュタインの一般相対論は、時空そのものが不変ではないと主張します。もちろん、我々が生活する普通の空間では両者の区別が感じられる現象は存在しないので、当初の検証も水星の近日点移動といった天文学的観測を通じて、すぐ近くにある大質量である太陽周辺の空間を伝播する光が曲がって見えるという小さな効果を正確に証明したことで認められました。最近では新しく観測を始めたジェームズ・ワット宇宙望遠鏡のデータが公開されると、図に示したように遠方の天体を観測する画像の中には、多数の重力レンズ効果が示されており、一般の天文ファンにも重力レンズはなじみ深いようになりました。そこでは光が曲がって見えるのは、光が曲がったからではなく、時空が巨大質量の重力によって歪んだからだと、原因と結果は逆転しました。一般相対論が基盤となったことが理解できるでしょう。

ただし、宇宙望遠鏡が提供している画像は、あくまで静的な宇宙像で、しかもそれは天体の表面から出てくる光が伝える情報を見ているという限界があります。太陽や星の活動を決めているのは明らかにもっとも重力の影響を高く受け、その高温、高圧条件で核融合反応をしている内部、なかでも核であることは明らかです。しかし、中心部の情報は内部から表面に出てくる間に、さまざまな影響を受けて変化してしまうので、ニュートリノや重力波のように高密度天体とほとんど相互作用しないものだけが、内部情報を提供できるのです。超新星爆発や中性子連星の合体のような激しい天体現象で観測されたように、ニュートリノと重力波は活動している宇宙の動的な姿を伝える天文学を生み出すと期待されています。

光響オリジナル
4 重力波観測のための超高品質量子限界光学ミラーの開発:植田 憲一 4【1960 年代 ウェーバーによる共振型重力波アンテナ】 重力波を計測しようとした最初の試みはメリーランド大学の Joseph Weber で 1960 年代のことでした。彼は図に見るようなアルミ製の円柱型アンテナを使いました。正負の電荷で形成される双極子で放出される電磁波に対して、負の質量が存在しない重力波では四重極放射となります。楕円状の輪ゴムが長軸、短軸を交換しながら飛んでくるようなイメージを描くことができます。そのため、巨大なアルミ製のアンテナが重力波に共鳴すると、楕円が伸び縮みするよ うに共鳴的に振動するはずなので、重力波が計測できるという原理でした。実際、東大の 平川先生なども重い物体を回転させれば、その回転体が発生する重力波を円筒形の共振型 重力波アンテナで検出できると考えて、実験をしていました。 光響オリジナル
5 重力波観測のための超高品質量子限界光学ミラーの開発:植田 憲一 5【1979 年 中性子連星による重力波の間接的存在証明】 1967 年、ケンブリッジ大学の大学院生だったジャスリン・ベルが宇宙から 1.3373011922 秒ごとに到来する奇妙な電波を発見しました。これ自身が中性子星の発見につながる大発見でしたが、さらに1974 年にハルスとテーラーが連星パルサーを発見し、重力波の存在が証明されました。中性子星が連星を構成している連星パルサーでは、連星が互いの周りを回りながら、徐々にエネルギーを失い公転周期が短くなっていることを粘り強い観測から計測し,それが重力放出の結果であることを証明したのです。まさにウェバーや平川先生がやろうとした 2 つの質量が質量中心の回りを回転して重力波を発生するということが、天体自身がやっていたのです。ただし、発生した重力波を直接計測することはできそうもありませんでした。

パルサーの発見、重力波を証明した連星パルサーの発見は共にノーベル物理学賞(1974年ライル、ヒューイッシュ、1993 年ハルスとテイラー)を受賞しました。ただし、パルサーの本当の発見者であるジャスリン・ベルは受賞せず、指導教官だけが受賞したので、大きな問題となりました。

光響オリジナル
6 重力波観測のための超高品質量子限界光学ミラーの開発:植田 憲一 6【レーザー干渉計重力波検出器による観測ネットワーク】 1987 年の超新星爆発はニュートリノ天文学を生み出し、同時に重力波研究にも大きく発展させました。欧米ではそれ以前から重力波研究の準備がされていて、大型レーザー干渉計型の重力波アンテナの研究が進みました。2016 年 2 月 12 日に米国LIGO が重力波を直接観測することに成功し、それがブラックホール連星の合体から発生したことが分かりました。その後、欧州の VIRGO と共同観測では中性子連星やいろいろな重さの連星が観測されるようになり、従来の天文学の常識を書き換えています。さらに神岡鉱山の中に設置した日本の KAGRA が共同観測に参加できるようになりつつあります。重力波アンテナは巨大な装置ですが、いわば重力波を測定するフォトダイオードのようなものですから、その場所に重力波がきたことは分かっても、それがどこから、どんな速度で伝播してきたか、ということを計るには、少なくとも 4 つの検知器が同時に計測できることが必要です。なぜ、3つでなくて4つかというと、重力波は電磁波のような双極子放射波ではなく四重極波だからです。その4つの検知器を地球上に話して設置すれば、それらが作る体積が大きいほど、精度が高まるというシステムです。観測ネットワークが重要な所以です。 光響オリジナル
7 重力波観測のための超高品質量子限界光学ミラーの開発:植田 憲一 7【レーザー研究者としての重力波天文学との出会い】 筆者は 1980 年代は相対論的電子ビーム励起 KrF レーザー による核融合用ドライバーの研究というプロジェクト研究をしていました。大出力レーザーの経験はあっても、超高安定化レーザーなどはまったく未経験、それまでは無関係な研究分野でした。しかし、前述の経緯があり、重力波 研究を若手だけで提案することになったとき、最初の計画で安定化レーザーの計画代表者だった電通大レーザー研の宅間宏先生が、「君の名前を書いておいたよ」と私に告げました。私自身は中身も知らないし、ちらっと計画調書を見ると、10-21の周波数安定度などと、とんでもないことが書いてあるので、とても通らないだろうと聞き流して自分の研究を続けていました。そんなとき「あの科研費が通った」という連絡が来たのでした。そして筆者は計画研究の代表者 4 人のうちの一人になっていたのです。宅間先生の研究室で卒業研究を始めていた 4 年生、上原昇君を先生として、一緒に勉強を始めたものでした。1 年間の総合研究を通じて、重力波研究グループの要求を理解しながら、それまでの自分の経験を活かして超高安定化レーザーのための鍵となる技術から研究の糸口を見つける努力をしました。 光響オリジナル
8 重力波観測のための超高品質量子限界光学ミラーの開発:植田 憲一 8【Δ h/h<10-21 とは?】 重力波検討会でレーザー開発の責任者である筆者に要求されたのは、Dh/h<10-21 という途方もない小さな空間変位の測定を可能とする周波数安定度 Dn/n<10-21 が目標値です。しかもこれは量子限界雑音としての要求なので、他の要素の助けを借りることができません。掛け値なしの要求なのです。この要求の元は、重力波が作り出す空間変位そのものがこの値だということです。アインシュタインが予言した重力波による空間の歪みは 10-21 程度ですが、これはちょうど、太陽と地球の距離が水素原子一個1Å歪んだ量を検出しないといけないというものです。しかも実際に検出する干渉計の腕の長さは折り返しを含め150km としましたので、150km×10-21=1.5×10-16m、なんと水素原子の 100 万分の 1 の変位が最低要求でした。量子限界計測というものの厳しさをはじめて知った瞬間でした。 光響オリジナル
9 重力波観測のための超高品質量子限界光学ミラーの開発:植田 憲一 9【我が国の重力波検出計画】 重点領域研究に始まった我が国の重力波検出計画は、重点領域研究と新プロ計画では要素技術の開発と同時に、おのおの 20m 干渉計、TAMA300 300m干渉計を国立天文台に建設し、実際に1000 時間連続運転で観測することにも成功しました。国立天文台の近くには東八道路があり、重いダンプが走るとレーザーと干渉計のロックが外れるので、ロッ クをつなぎ直したりして、東京ならではの環境を利用して技術開発をしました。その間、日本全国の調査を行ない、将来を見越した極低温レーザー干渉計を地面振動を1/100 に抑えることのできる神岡サイトに建設するのがベストだという結論を出しました。ちょうど、国立大学の独立行政法人化という歴史の変わり目にぶつかった結果、大学からの概算要求ができない時期にぶつかって、大型重力波研究はかなりのブランクを余儀なくされました。学術会議を通じて大型科学研究の再開が認められるようになると、その第一期として、神岡に LCGT(後に KAGRA と命名)大型重力波アンテナの建設が始まったのです。 光響オリジナル
10 重力波観測のための超高品質量子限界光学ミラーの開発:植田 憲一 10【重力波天文学 超高安定化レーザー、超高品質ミラーの開発研究】 重力波研究を始めるにあたって、最初に決めた方向は 2 つでした。超高安定化レーザー については、R. Byerが開発したMISER(現在はNPROと記することが多い) を使って安定化技術を磨きます。MISER はモノリシックの一方向性リング共振器構造の Nd:YAG レーザーで安定化レーザーとしては最適と判断しました。ただし、出力は 400mW と少なく、重力波検出に必要とされる 1kW にするには、新しいアイデアが必要です。もう一つの鍵となる技術は PPM 損失ミラーであることは明らかでした。これは米国以外 にはない技術で、スタンフォード大からドイツに移動したT. Henschのような有名な研究者ですら、公然とは入手できないものでした。そこで、最初は米国メーカーと協力して開発し、国産メーカーを育成する必要がありました。その際、どうしても必要となるのは測定技術で、大学が PPM 損失ミラーの特性を正確に測定できなければ、メーカーが技術開発水素原子1個 10-8 m実際はもっと難しいをすることもできません。そのため、最初は米国 PMS 社と共同研究して安定化レーザーの 参照共振器用ミラーを入手して、それを使って国産技術を高め、国産技術によって口径100mmのTAMA300 用のミラーの開発を目標にしました。 光響オリジナル
11 重力波観測のための超高品質量子限界光学ミラーの開発:植田 憲一 11【電子ビーム蒸着からイオンビームスパッタリングへ】 学生時代の単純な抵抗加熱蒸着に始まり、KrF レーザー用紫外光 学薄膜の開発では電子ビーム加熱蒸着を、それらは後にイオンアシストが付け加わり、重力波研究用にはイオンビームスパッタリング法へと変化しました。イオンビームスパッタ リングはよく使われるプラズマスパッタリン グとは異なります。これらの蒸着技術の変化 はおのおの蒸気が基盤に衝突するエネルギーが変わり、それによって光学薄膜の質が変わります。今回はイオンビームスパッタリングについて考察をしてゆきます。 光響オリジナル
12 重力波観測のための超高品質量子限界光学ミラーの開発:植田 憲一 12【イオンビームスパッタリング成膜技術】 最初はカウフマン型イオンガンで中空電極内に Ar プラズマを発生させ、プラズマから高電圧をかけて引き出した Ar イオンを減速し、イオン源の出口に配置された電極で中和化します。その中和化されたイオンを Ta や Si ターゲットに照射し、そこからスパッタされた金属原子を基板に飛ばして成膜をします。このようにイオンビームスパッタリングはイオン加速、減速という過程を利用しているので、精密に薄膜形成を研究するためには、線形加速 器に準じた装置を用いることもありました。重力波研究やレーザージャイロに用いるミ ラーではわずかな不純物も許されないために、イオンガンを熱電極を用いない RF 型イオンガンにも挑戦して不純物吸収を減少させる努力もしました。もっともこの部分は日本航空電子が担当し、彼らが保有していた独自技術を発展させたものでもあります。筆者らはもっぱら後に述べるように、超狭帯域レーザーを用いて、超高品質光学ミラーの特性を解析し、光学薄膜の問題点を指摘し、協力関係を通じて、薄膜特性を改善しました。 光響オリジナル
13 重力波観測のための超高品質量子限界光学ミラーの開発:植田 憲一 13【安定化レーザー光源の開発】 超高品質ミラーの開発に先だって安定化レーザー光源の開発について言及します。超高品質ミラーの特性を測定するためには、サブヘルツという線幅を持った安定化レーザーが必要で、測定できなければ超高品質ミラーを開発することができないからです。安定化レーザーの基本は先に述べたとおり、R. ByerとT. Kaneが開発したMISERMonolithic Isolated Single-mode End-pumped Ring laser を使うことに決めて、このレーザーと高フィネスの参照共振器を組み合わせて周波数安定化を行なうことにしました。MISER は図に示したように、YAG 結晶の 一方の端に角度を付けた反射面を形成して、Non-planer、すなわち非平面のリング共振器を形成し、図のような方向に磁場をかけてYAG 結晶そのもののファラデー効果を利用する方式です。光共振器は通常、共振器の両端で位相が固定されることを利用してモード選択をしていますが、MISER の場合はファラデー回転による偏光面の一致も同時に要求することで、リング共振器に一方向性を加味しているのです。通常のファブリペロー型共振器に比べて、圧倒的に高いモード安定性をもたらすと考え、マスター発振器としてはこれしかないと判断したのです。 光響オリジナル
14 重力波観測のための超高品質量子限界光学ミラーの開発:植田 憲一 14【周波数安定化固体レーザー:何を物差しとするか?】 MISER の周波数を外部に設置した参照共振器を用いて計測しながら、共振器からの反射光を検出し、参照共振器にもっとも整合するようにレーザー光に直接接着したピエゾ素子にフィードバック信号を与えてレーザー周波数の制御をします。このような安定化手法は Pound-Drever-Hall法といいます。電磁波制御のために開発されたPound法を、グラス ゴーからCITに移動したDreverがJ. Hallの協力を得て光領域で実現した方法で、周波 数安定化の基本的技術となっています。CIT の重力波アンテナ LIGO の研究指導者であったDrever先生は重力波アンテナに関するさまざまな技術を独創的なアイデアで解決した研究者で、LIGO が重力波を計測したときには必ずノーベル賞を受賞すると思われていましたが、残念ながら受賞の半年前に亡くなったので、受賞は Barish がすることになってしまいました。しかし、このPDH 法なしにはレーザーの安定化が不可能だったので、これだけでも超微小な空間変位の計測が必要だった重力波研究にとって最大の貢献をしたといえるでしょう。ところでこのような装置でレーザー周波数の安定化が可能となりましたが、Dn/n<10-21 などという周波数安定度を達成するには、本質的な問題があります。そもそも周波数の安定化とは、基準周波数からレーザーがずれることを測定して、それを元に戻すというフィードバックで成り立っています。周波数を測定できなければ、周波数を安定化することもできないのが原理です。ところが、重力波検出が要求する安定度は Dn/n<10-21 と人類が経験したことのない精度です。そのような精度で周波数を測定する物差し自身がありません。安定化するには測定をしなければいけない、その一方、そんな物差しがあれば、それ自身を使えば良いので、レーザーを安定化などする必要はない、という堂々巡りの矛盾にぶつかるのです。 光響オリジナル
14 重力波観測のための超高品質量子限界光学ミラーの開発:植田 憲一 14【周波数安定化固体レーザー:何を物差しとするか?】 MISER の周波数を外部に設置した参照共振器を用いて計測しながら、共振器からの反射光を検出し、参照共振器にもっとも整合するようにレーザー光に直接接着したピエゾ素子にフィードバック信号を与えてレーザー周波数の制御をします。このような安定化手法は Pound-Drever-Hall法といいます。電磁波制御のために開発されたPound法を、グラス ゴーからCITに移動したDreverがJ. Hallの協力を得て光領域で実現した方法で、周波 数安定化の基本的技術となっています。CIT の重力波アンテナ LIGO の研究指導者であったDrever先生は重力波アンテナに関するさまざまな技術を独創的なアイデアで解決した研究者で、LIGO が重力波を計測したときには必ずノーベル賞を受賞すると思われていましたが、残念ながら受賞の半年前に亡くなったので、受賞は Barish がすることになってしまいました。しかし、このPDH 法なしにはレーザーの安定化が不可能だったので、これだけでも超微小な空間変位の計測が必要だった重力波研究にとって最大の貢献をしたといえるでしょう。ところでこのような装置でレーザー周波数の安定化が可能となりましたが、Dn/n<10-21 などという周波数安定度を達成するには、本質的な問題があります。そもそも周波数の安定化とは、基準周波数からレーザーがずれることを測定して、それを元に戻すというフィードバックで成り立っています。周波数を測定できなければ、周波数を安定化することもできないのが原理です。ところが、重力波検出が要求する安定度は Dn/n<10-21 と人類が経験したことのない精度です。そのような精度で周波数を測定する物差し自身がありません。安定化するには測定をしなければいけない、その一方、そんな物差しがあれば、それ自身を使えば良いので、レーザーを安定化などする必要はない、という堂々巡りの矛盾にぶつかるのです。 光響オリジナル
15 重力波観測のための超高品質量子限界光学ミラーの開発:植田 憲一 15【超低損失ファブリペロー共振器】 PMSから入手した超低損失ミラーをインバー製の中空パイプの両端に取り付け、そこにリング状の PZT を取り付けて共振器長を変化させ、フィネス計測法で共鳴スペクトル幅を測定できるようにしてあります。最も高いフィネスの状態に維持することで、参照共振器内には過去の情報が蓄積されていて、それにレーザー周波数を同調することで周波数を安定化させます。このように参照共振器に蓄積された情報を基準に周波数安定化する場合、参照共振器が熱 的にドリフトしない範囲で安定化できるので、短期安定度が実現されたといえます。一方、長期安定化には、時間で変化しない基準、原子の共鳴周波数などを用いる必要があります。最初の参照共振器は PMS 製のミラーで試作しましたが、高性能光学薄膜研究会を通じて 国産化が進むにつれて、徐々に性能が改善されるミラーを用いて、同様の共振器を使ってレーザー安定化をしました。その後、FP 共振器のスペーサーはもっと膨張係数の小さな ULE Ultra-Low Expansionガラスを使うようになりました。 光響オリジナル
16 重力波観測のための超高品質量子限界光学ミラーの開発:植田 憲一 16【193-mHz ビート線幅 LD 励起 YAG レーザー】 最初に入手した超高品質ミラーで周波数安定化レーザーを開発しましたが、それらの安定度を測定するには、同じ共振器にロックした 2 台の安定化レーザーの周波数ビートを計測します。安定化レーザーの開発には、低周波、高周波領域をおのおの PZT、AO 変調器、 EO 変調器の帯域を重ねながら、周波数制御を行なう必要があるが、フィードバック回路 の利得は極めて高く最大 150dB 利得が必要とされていました。しかしそのような高利得フィードバック回路は簡単に発振してしまい、制御できなくなるので、安定なフィード バック回路を作成するのは簡単ではありません。J. Hall先生のような特別の技術センスを持った研究者だけが可能な領域とされていました。実際、J. Hall研では制御回路は先生が自宅の地下室で調整してくれていて、学生達は使うだけで自分では作らないといっていました。J. Hall先生は秋葉原が大好きで、スタンフォード大学を訪問するのも、シリコンバレーの秋葉原のような場所を訪問して、必要な電子部品を入手するためでもありました。当然、使用する電子部品の個性を測定しながら、組み合わせたときの特性を調整す る必要があります。そこで、重力波研究を始めたときに、最初に購入した装置は電子回路 のシミュレーターで、仮想空間で電子回路を形成して、その熱特性、雑音特性から回路安 定性を推測するものでした。しかし、実際の回路で発振するかどうかは、やってみるまで分からない難しい問題でした。図は193mHzという狭いビート線幅の測定に成功して、Optics Letterに掲載した論文から転載したものです。この実験は我々にとっても初めてのビート線幅測定で、予備実験では雑音源を特定して、それらを削減する 努力を続けました。超高安定化レーザーの安 定度を維持するのは大変で、他のグループが実験をするために真空装置を駆動すればその振動が周波数を不安定化させます。もちろん、建物の空調システムが動くと、わずかに温度が上下するので、その影響で周波数は熱ドリフトします。それらの雑音源を排除するために、この実験は年末年始の休暇中、他の研究室の実験を止めてもらって、レーザー研の空調もすべて止めて、7 階建て、1100 平米の レーザー研の建物の大きな熱容量を利用して安定な条件を作って計測しました。一番高精度の周波数シンセサイザは HP 社から貸与してもらって測定しました。 光響オリジナル
17 重力波観測のための超高品質量子限界光学ミラーの開発:植田 憲一 17【絶対周波数の安定度測定】 量子限界では周波数雑音を低減するためには、レーザー光強度が高くなければなりません。実際、有限の光子数では、光子数が変化するときの振幅雑音は光子数が多いほど、量子限界が高まります。光検知器は光エネルギーを計測するので、振幅雑音が大きければ、制御可能な周波数限界も劣化するからです。出力が大きいほど、安定度が高まるのが量子限界レーザーというものなのです。

同一の参照共振器に周波数ロックをかけた安定化レーザーで検出した周波数ビートは2台の安定化レーザーの相対的安定度を与えますが、絶対的な安定度を求めるには、参照共振 器を含めて完全に独立なレーザーを比較しなければなりません。そこで、図のように独立の参照共振器にロックした 2 台のレーザーを用いて、絶対周波数の安定度を測定しました。お互 いの安定化レーザーは別々の参照共振器にロックされており、短期安定度は同じだと考えられます。

光響オリジナル
18 重力波観測のための超高品質量子限界光学ミラーの開発:植田 憲一 18【レーザー光は本当に正弦波か?】 最初に両者のビート周波数をオシロスコープで計測しました。最初は参照共振器にロックもしない普通の状態のレーザー光のビートを測定しようとしました。それでも MISER は縦横単一モードで発振しているので、周波数そのものは一定だと考えていました。ビートの中心周波数は 227MHz でヘテロダイン検波した信号は図のように一定の範囲、正弦波的に見える領域がありますが、 突然、正弦波から外れ、不連続に次の正弦波につながります。一見、正弦波的に見える範囲が同一のコヒー レンスを持つ光の波束なのです。普通の光源はコヒーレントな時間が短いものですが、2 台の独立したレーザー光も制御していなければ、互いのコヒーレンスは維持されず、結構、短い波束で形成されていることが分かります。 一方、互いの参照共振器にロックして周波数安定化制御をした場合のビート波形は全体として正弦波的に観測されます。不連続なつながりは全くなく、ただ正弦波の周波数に一定の伸び縮みが観測されます。ちょうどアコーディオンの演奏のように周波数がふらついていることが見て取れます。これは参照共振器に周囲の環境から来る音響雑音などの擾乱が入っていることを意味します。外部擾乱があっても、完全にコヒーレンスが途切れるのではなく、制御回路が調整してレーザー周波数を追随させていることの証拠です。これらの周波数の変調は参照共振器そのものを安定化することで取り除くことも可能ですし、後から補正を加えることも可能かもしれません。周波数の不連続や位相の跳びがないということはそのような意味を持ちます。 光響オリジナル
19 重力波観測のための超高品質量子限界光学ミラーの開発:植田 憲一 19【周波数安定化注入同期レーザーと長期・短期同時周波数安定化】 【周波数安定化注入同期レーザー】
【長期・短期同時周波数安定化】
光響オリジナル
20 重力波観測のための超高品質量子限界光学ミラーの開発:植田 憲一 20【超低損失ミラーの研究、高性能光学薄膜研究会、 Optical Test Facility】 超高品質ミラー、超低損失ミラーの開発で大きな役割を果たしたのは高性能光学薄膜研究会で、我が国の光学メーカーの技術者約 130 人が参加しました。光学業界の 特殊性で、メーカー技術者間の交流があまりなく、我々 大学関係者からすれば有名な技術者同士が、この高性能 光学薄膜研究会に参加してはじめて口をきいたということがよくありました。研究会の中ではライバル企業の研究者が互いに厳しい批判をしているのですが、夜の飲み屋に行くと、それらの研究者が互いにお酒を飲みながら仲良く情報交換をしていました。競争と協力を地で行っている関係を目にしていたのでした。ところが、光学業界は違うようで、技術者が個人としての関係を持つことを避けているようで、一種の 蛸壺社会だと感じたのでした。これはノウハウの塊のような光学技術の特長といえるのではないかと思います。そのような空気を打破しないと、はるかに先を行く米国光学技術に追いつくことはできません。多くの人は日本は光学技術で世界最高だと信じていました。そんなとき、朝日新聞に日米State of Artすなわち先端技術調査の結果が報道され、米国の認識が示され ました。当時はJapan as No.1の時代で、日本が米国を追い抜いて技術的に世界のトッ プに立ったという評価がされていました。そのとき、光学技術についての米国の評価 は、米国に2重丸がついていて、日本を完全 に凌駕しているという評価でした。コン ピュータ技術ならともかく、日本が特異にしている光学技術で米国がダントツのトップだという評価でした。朝日新聞もこの評価には疑問を投げかけていました。しかし、これは米国の正直な評価だったのです。確かにカメラ技術などでは日本の光学技術が世界のトップに君臨していました。その評価は当時日本が強かったエレクトロニクス技術も相まって、誰もが信じる技術評価だったのです。しかし、本当のState of Art 技術は軍事偵察衛星、アダプティブ光学、レーザージャイロなどの軍事技術の中にあったのです。 光響オリジナル
21 重力波観測のための超高品質量子限界光学ミラーの開発:植田 憲一 21【周波数基準を使ってレーザー周波数を安定化させるのは矛盾では?】 従来の技術のように基準周波数を使ってレーザー周波数を安定化するのは矛盾を含んでいます。原子標準のような基準周波数を使ってレーザー周波数を安定化させる技術では、物差しである基準周波数以上には安定化できません。しかも有限の励起寿命で 決まる原子の光学遷移のスペクトル幅は周波数的に評価すると結構幅が広く、kHz などという共鳴線幅は期待できません。もちろん、ドプラー幅や圧力幅も邪魔をします。そのため、超高フィネス光共振器の中に自分の過去を蓄積して、自分自身の過去の平均値と現在の自分をあわせることで安定化させるということを述べました。その平均値は過去の 積分時間が長ければ長いほど、きちんと決まることになります。共振器内光子寿命が制度を決めることになるのです。 光響オリジナル
22 重力波観測のための超高品質量子限界光学ミラーの開発:植田 憲一 22【参照共振器の安定化とFP 共振器の特性パラメータ】 【参照共振器の安定化】
【FP 共振器の特性パラメータ】
光響オリジナル
23 重力波観測のための超高品質量子限界光学ミラーの開発:植田 憲一 23【超高品質ミラーの特性計測法の選択と電子ビーム蒸着膜の問題の発見】 【超高品質ミラーの特性計測法】
【フィネス計測法、リングダウン法、応答関数計測法、散乱損失計測法】
【AM サイドバンド、フィネス計測法】
【電子ビーム蒸着膜の問題を発見】
光響オリジナル
24 重力波観測のための超高品質量子限界光学ミラーの開発:植田 憲一 24【応答関数計測法 リングダウン計測法 反射率の 2 次元分布の計測】 【応答関数計測法】
【リングダウン計測法】
【反射率の 2 次元分布の計測】
光響オリジナル
25 重力波観測のための超高品質量子限界光学ミラーの開発:植田 憲一 25【PPM 散乱係数の測定法と空間的均質性の測定 】 【PPM 散乱係数の測定法】
【空間的均質性の測定】
光響オリジナル
26 重力波観測のための超高品質量子限界光学ミラーの開発:植田 憲一 26【重力波天文学と連携した国産超高品質ミラーの進歩】 国内メーカーと協力して高反射率ミラーの開発に乗り出したのは 1991 年で、1992年には電 子ビーム蒸着法で高反射膜ができるようになりました。よろこんで共振器を作って特性を測定したところ、 R=99.97%と電子ビーム蒸着膜の限界に近い反射率で、さすが日本の光学メーカーの技術はすごいと喜びました。しかし、共振器からの透過出力を測定すると、共振器透過率はわずか 0.014%でした。フィネスは 5908 ありましたが、レーザー光はすべて光共振器の中で失われてしまいましたので、狭帯域レーザー光を外部に取り出すことができません。これでは何のために高 フィネス共振器を開発したか分かりません。狭帯域光が出力だからです。一方、1994 年 にイオンビームスパッタリングで作成したミラーはフィネスは 39000 まで高くなりました が、共振器透過率は 15.2%ありました。これなら、高フィネス光共振器からの出力を利用 することは可能です。これにより、当初考えていた高反射率が高品質という考えは正しくなく、低損失こそ高品質ミラーだというように考えを改めました。

1995 年には共振器透過率を上げる試みをしました。反射率は99.86%とそれほど高くはありませんが、透過率を上げることに注力しました。結果として、1994 年のミラーに比べて損失係数は58ppm から 6ppm と一桁減少させることができました。フィネスは 2236ですが、この光共振器の透過率は 99.1%と共振器で損失をすることなく、ほぼすべてを出力することができました。産業用には無損失ミラーと評価でき るでしょう。

通常、ミラーの曲率半径などを計測しようとすると、曲率半径の分かった基準面を持ってきて、それからの差を測定することが多い。研磨という工程も同様に基準面をコピーする形でミラーの曲面を形成する。一方、ファイバー光学系が進歩することによって、単一モードファイバーの出力は点光源となり、その広がってゆく光の波面は完全球面だということを利用するポイント光源干渉計が高精度な球面計測法として開発された。

光響オリジナル
27 重力波観測のための超高品質量子限界光学ミラーの開発:植田 憲一 27【周波数安定化レーザーによる光学素子計測】 TMR の部分を拡大すると、図に見るように、TEM10 モードと TEM01 モードは微妙にずれており、TEM20, TEM11, TEM02 も 3 つのピークに分裂します。これら 1 次、2 次の横モードはすべてちがったTMR 周波数を持っており、そのモードが感じているミラーの曲率半径はわずかに異なります。 TEM10,TEM20 方向では 1008mm 強、それに直交する TEM01, TEM02 方向は 1007mm 弱とわずかに軸対称性からずれていることが観測されました。これが本当に幾何学的、機械的は曲率半径そのものかどうかは現時点で不明ですが、レーザー光の TEM モードは電磁気学に基づく光の電界強度分布なので、それらにミラーが与える影響であることは間違いありません。 極端に高次の空間モードを観測してみると面白いことが分かりました。 光響オリジナル
28 重力波観測のための超高品質量子限界光学ミラーの開発:植田 憲一 28【光のモード体積によって変わるミラー曲率】 周波数領域におけるミラー曲率計測の高感度性を象徴するような計測がされました。TMR 計測を行なっている計測用レーザーの出力を変化させて見たところ、TMR 周波数に計測レーザーパワーによる変化が観測されたのです。計測とは本来、測定対象を変化させないで測定をしなければならず、測定用レーザーパワーは少ない方が良いですが、一方で FMR に比べて弱い TMR のピークを測定するにはレーザー光パワーが多い方が便利です。 結果を示した図ですが、確かに FSR=c/2pL と共振器長 L だけで決定される FSR は変化しないので、測定用のレーザー光パワーを増やしても共振器長 L には影響しないことが確認できます。一方、TMR 周波数の計測ではレーザー光を増やしていくと、周波数が低下しており、しかもそれはモードによって傾きが変わっています。さらにそれらのゼロ入力極限はすべての曲線がゼロ入力 FSR 収斂しています。この意味するところは、ゼロ入力条件で計測すれば、TMR シフトがないということを意味するのでしょうか。その場合は、曲率 r1.r2 が無限大の平面だということになります。これはおかしいです。しかしよく見ると、TEM20、TEM02 モードについては、低入力領域で データがばらついていて、この部分はSNが悪く信頼性に欠けることが分かります。いずれにしても、ここで判明した重要な結果は、レーザー光そのものの波面を用いた TMR 周波数を用いたミラー曲率の測定がきわめて精度が高く、計測用レーザーの薄膜吸収によって生じた薄膜膨張によるミラー変形が計測できるほど感度が高いことが判明しました。 光響オリジナル
29 重力波観測のための超高品質量子限界光学ミラーの開発:植田 憲一 29【大型干渉計によるモード体積依存損失】

超平滑研磨技術、イオンビームスパッタリング技術が進歩して、国産ミラーで重力波用の安定化レーザー、モードクリーナー共振器、主干渉計の光学ミラーを国産化できる目処が立ったところで、光学定盤での研究室条件と国立天文台に設置した 20m大型干渉計に同じ品質のミラーを導入した結果を比較検討しました。両者の品質はほぼ同程度ですが、干渉計の規模の違いから、共振器モードのビームウェスト径が 0.82mm と 4.4mm と大きく異なります。大型干渉計ではモード体積が大きくなるので、干渉計用のミラーもその大きなビームに対する特性が必要になります。中心部の狭い範囲で高性能であれば良い実験室計の光学ミラーとは大きく異なります。実際、反射率は小数 点以下 6 桁目、フィネスも 27900 と 25000 とほとんど同じです。 一方、共振器透過率と反射率は卓上サイズでは ηT=0.73 、 ηR=0.09 で、20m干渉計 では ηT=0.58 、 ηR=0.045 となり、透過効率、反射効率のどちらも大きく減少しました。 その結果、卓上型では ηT +ηR=0.73+0.09=0.82 、20m干渉計ではηT +ηR=0.58+0.045=0.625 となり、共振器の反射、透過を除くネット損失はおのおの0.18、0.375 と大きな差が生じています。光学パラメータから見るとミラーそのものの透過率は 97ppm と 95ppm とほとんど差がないにもかかわらず、吸収・散乱損失係数は 16ppm と 30ppm と絶対値は小さいが、相対的には大きな差が計測されています。この小さな損失の違いが共振器特性に与える影響は大きいです。そして、その中には干渉計やミラーのサイズ依存性がある、ということが判明しました。

重力波研究のために始めた周波数安定化 レーザーと超高品質ミラーの開発は、産業技術とかけ離れているため、当初はアカデミアの趣味的な研究と受け取られました。しかし、その中で必要とされた、超平滑研磨+ IBS 低損失薄膜技術はその後、光通信分野でも必要な技術となり、その重要性が再認識されることになりました。そして、このような超高品質ミラーを開発するためには、まず光学パラメータの精密計測の重要性が明らかとなりました。測定できないものは技術を改善することもできません。また、ppm という極微の損失を測定するには、高フィネス光共振器による増幅効果の利用が不可欠でした。

光響オリジナル
30 重力波観測のための超高品質量子限界光学ミラーの開発:植田 憲一 30【天声人語に載った重力波研究】

重力波研究の重点領域研究に続いて 300m 干渉計を開発する新プロが始まり、2001年まで続きました。TAMA300 という 300m 干渉計を作って本格的に重力波検出の研究に乗り出しました。もちろん、欧米に比べて 1/10 以下である 300m 干渉計では十分な感度が出せないことは明らかでしたが、1987SN のように我々の銀河系の中やごく近くで重力波が発生す ることもあり得ないことではなかったのです。特別の科研費システム、新プロが国立天文 台の初代台長、古在先生が責任者として始まりました。2001 年 12 月、新プロ計画が終了したことを記念して、一般に向けた公開シンポジウムを博多の中心にあるイズムホールで開催した。宇宙や天文、なかでも訳が分からない重力波天文学などというテーマは一般の方には興味をそそられる分野のようで、たくさんの中学生、高校生、そして面白いことに多くの科学好きの老人や女性達など、普段、我々が講 演相手としていない観客であふれる公開シンポジウムとなりました。 光響オリジナル
31 重力波観測のための超高品質量子限界光学ミラーの開発:植田 憲一 31【質疑応答】

質疑応答

Q1 イオンビームスパッターでターゲットの純度は気にしたのか?
Q2 光学薄膜はアモルファスになっているか?
  酸化タンタルはストイキオメトリ(化学量論的組成)かノンストイキオメトリのどちらか?

光響オリジナル